「ブランド」は増やすな。「ブランド」は磨け②
スーパードライは、30年も続いている息の長いブランドです。
その理由は、ブランドが陳腐化しないように、
スーパードライを磨き続けているからです。
たとえば、鮮度管理へのこだわりです。
アサヒビールの商品の歴史は、
「お客様にいかに新鮮なビールをお届けできるか」に
こだわった歴史であると言えます。
私を含め歴代の社長は、つねに鮮度という原点に立ち返り、
より高い目標を立て続けて事業運営を進めてきました。
87年にスーパードライを発売した樋口廣太郎社長は、
出荷後のビールでも製造後3ヵ月以上経っていれば回収する
「フレッシュローテーション」の取り組みを推進。
品質にかけるアサヒビールの決意を、社内外に示しました。
93年、瀬戸雄三社長時代には「フレッシュマネジメント活動」と
して鮮度管理にさらに注力。
「新鮮=おいしさ」という考えのもと、製造から消費までの期間を短縮する活動を強力に進めました。
鮮度への挑戦はさらに続き、私が社長を務めていた2000年には、
製造後3日以内のスーパードライを出荷する「鮮度ギフト」を始めました。
鮮度管理は一部の社員の努力で実現できるものではありません。
出荷までの期間を縮めると簡単に言っても、
実現するのは困難を極めます。製造、物流、営業など、
すべての社員が連携を取り合って挑戦し続けたからこそ、
高いレベルの鮮度管理を実現・進化させることができたのです。
その挑戦の歴史が、アサヒビールの強みを生み出して
いきました。
スーパードライというトップブランドも、時代の変化、
食生活の変化の中で、鮮度の追求という原点に忠実で
あったからこそ、多くの支持を得たのだと思います。
Diamond記事より